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2025/05/14  [PR]
 

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「イルカ先生」
既にいつもの起床時間をとっくに過ぎている。
それでもまだ布団から出ない俺にカカシ先生はオズオズと声をかけてきた。
「どうしたの?具合悪いの?」
遠慮がちに布団の裾を捲ってくる。
「・・・まぶし・・・」
朝の容赦ない光に眉を顰めてしまった。
起きているつもりだったがまだ半分眠りの中に居たようだ。
うっすらと目をあけるとカカシ先生が心配そうに覗きこんでいた。
「ごめんね、昨日無理させすぎた?」
・・・お、男前だな。
見慣れている顔なのに頬が熱くなる。
「どこか痛いとこある?」
言いながら冷たい指先が俺の頬を撫でた。
(ぅわああぁぁぁ、なんだめちゃくちゃドキドキする!!)
カカシ先生の指先の感触に胸がドンドンと高鳴りを打ち始めた。
ど、どうしたんだよ俺。
カカシ先生とはいつもベタベタしてるじゃないか!
何を今更照れているんだ?!
そうじゃないだろ、イルカ!
今日はカカシ先生に我侭言いまくって己を省みて貰うんだろ!
そう自分に言い聞かせながら胸が早鐘を打ったままだ。
うまく声を出せないので俺はカカシ先生の問いに無言で頷いた。
昨日さんざん嬲られた尻が痛い。揺すられまくった腰が痛い。抱きしめられたアバラが痛い。
「ごめん。起きられないくらい痛い?」
「・・・・痛い」
やっと声を出すと、カカシ先生は驚いたような顔を一瞬だけして、ニコっと笑った。
「どうして、笑うんですか?」
俺が痛がっているというのに、笑うなんて不謹慎な。
そう言ってやりたかったがまだ口がうまくまわらない。
カカシ先生はといえばただニコニコ笑っているだけだ。
(・・・・なんだ、余裕だな)
だんだんと腹がたってきたと同時に目が覚めてきた。胸の高鳴りは相変わらずだが顔の火照りは治まった。
そうだ、こんなところで恥らっている場合じゃないのだ。
今日は徹底的にカカシ先生に甘え倒す。
余裕ぶっているが今に見てろよ、ギャフンと言わせてやる。
「カカシ先生、おこして」
布団の中から手を伸ばしてカカシ先生の首に回した。
男の俺がやるには薄ら寒い行為だが、そんなことを気にしていては何も出来ない。
それにカカシ先生はいつもこういう風に俺に甘えてくる。
「イルカ先生、寝ぼけてるの?」
すぐに腰を支えカカシ先生は俺の上体を起してくれた。
頬と頬が触れ合うほど密着した状態で背を労わるように撫でられる。
その心地のよさに素直に体を預けた。
「・・・イルカ、先生?」
「ん?」
「イルカせんせ・・・」
ようやくカカシ先生の声に困惑した色が見え始めた。
既に時計の針は8時を過ぎている。いつもならばアカデミーで朝礼を行っている時間だ。
ちなみに今日俺は前もって有給休暇を申請した。もちろんカカシ先生はそのことを知らない。
しかもカカシ先生にも七班の任務が入っている。
その集合時間は早朝6時、この時点ですでに遅刻だ。
いつも遅刻ばかりをしているカカシ先生だが任務を放棄したことはない。
今日も絶対に行くだろう。っていうか行ってくれなきゃ困る。
そしてカカシ先生が行く際に俺がいつもされるみたいに思いっきりダダを捏ねてやるのだ。
ナルト達には申し訳ないが、これをきっかけにカカシ先生が少しでも反省してくれればそれに越したことはない。
胸の中で手を合わせながら、俺はカカシ先生の出方を待った。
「ごめん、ちょっとヤバ・・・っ!」
「え?」
急に肩を掴まれ引き離された。
何事かとカカシ先生を見上げると頬がうっすらと染まっている。視線も落ちつかない。
(困ってるな・・・・)
ニヤリと頬が緩むのをなんとか堪えた。
カカシ先生が困っている。
いつもは自分勝手に俺を振りまわす男が今は困っている。
その姿に勇気づけられ俺はカカシ先生へとにじり寄った。カカシ先生は僅かに後へと下がった。
「あの、今日アカデミーは・・・」
「行かない」
「行かないって、でも」
「いいんです。それよりカカシ先生、俺、お腹すきました」
とりあえず首を傾げてみると、カカシ先生は顔を真っ赤にしてたちあがった。
「すぐに、用意しま・・・」
「待って!」
台所へと向おうとしたカカシ先生の腰になんとか抱きついて動きを止めた。
(セーフ!もうちょっとで逃げられるところだった)
「離れないでください。淋しいです」
同じ家の中で淋しいもクソもあるかと自分に突っ込んでみるが、これも計画のうち。
それに、カカシ先生が離れた途端に淋しさを感じたのも確かだった。
(・・・なんか、変だな、俺)
ほんとは、カカシ先生のように甘える自信などなかった。
カカシ先生の行動は見ているだけでも恥ずかしく俺はいつも動揺してしまうのに、それを自分がするなどと考えるだけで寒気がした。
しかし、案ずるより産むが安し、か。
思ったよりもカカシ先生に甘える行為に抵抗を感じない。
「側に、居てください」
「・・・でも、それじゃご飯つくれないよ」
カカシ先生の顔は見えないが、体からはっきりと動揺が伝わってくる。
「ご飯は作ってください。でも離れたら駄目です」
「イルカせんせい・・・、ごめんね、ちょっと待っててね」
一度俺の手を握りカカシ先生は俺の腕を解いた。
(おもしろくねぇなぁ)
そのソツのない行為にムっとしてしまう。
俺は上忍のバカ力で抱きしめられると解けないっていうのに。この男はいとも簡単に俺の腕を引き剥がした。
「・・・ばーか」
台所へと消えた背中が憎らしい。
俺はすぐさま毛布をひっかぶりその後を追った。

(続)

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